映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「透光の樹」監督・根岸吉太郎 at テアトル新宿

東京のテレビ制作会社の社長(永島敏行)が、25年ぶりに石川県・鶴来の町で再会した女
(秋吉久美子)。多額の借金と、寝たきりで介護を要する父に苦しむ彼女に、男は
借金の肩代わりとして一夜を共にすることを申し出る。が、心と体に火が点いたのは女の方だった
…というお話し。かつて「根岸的凡庸」とまで揶揄されたオーソドックスな手法で知られる根岸吉太郎監督6年ぶりの新作は、これまでの作品と違って、情念が色濃い。
全編おっさんの妄想で埋め尽くされている、が、乗れなかった私はまだおっさんじゃない
のか。いや、ただ単に秋吉久美子では妄想もしぼんでしまっただけかも。
それにしても、この企画、秋吉久美子でしか成立しなかったとみた。殆どの自称"女優"が
この性交シーンを拒絶したに違いない。同じ根岸監督+秋吉主演の「ひとひらの雪」('85)
から20年弱、再び秋吉しかいない、というこの国のショービジネスの貧困ぶりが悲しい。
韓国なら、欧米なら…と思うと情けない、本当に。