映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「イン・ハー・シューズ」監督カーティス・ハンソン at MOVIX六甲

フィラデルフィア。弁護士事務所に勤めるローズ(トニ・コレット)は、聡明だが男運が無い。
失恋するたびに「食べると太る、着るものは似合うものが無い」から眺めるだけの靴を買い込んでいる。
そこへ、「学習障害のクラスではトップ」だったルックスだけて頭空っぽの妹マギー(キャメロン・ディアス)が転がり込んで来る。
無職、酒と食べ物は男にタカリ、怖い目にあってもケロリな妹に就職活動を促す姉だったが、
ローズがやっとこ捉まえた上司の男をマギーが寝取ってしまい、マギーは遂に追い出される。
路頭に迷ったマギーは、実家に隠されていたある手紙の住所を頼りにフロリダに住むという未だ見ぬ祖母(シャーリー・マクレーン)に会いに行く…
というお話し。
様々な台詞が伏線になっている脚本が素晴らしい。
姉妹、実父、祖母それぞれが探す、20年埋められなかった家族のパズルのピース。
どうしても探し出せない「母」にまつわる謎とその真実は、各々の心の奥に仕舞ってあった。
マギーは祖母がいる老人ホームの手伝いに落ち着くが、そこで出会う盲目の文学教授が彼女に一編の詩を読ませる
シーンのカットバックの見事さに涙が出た。巧い。本当に巧い映画だ。そしてこの詩はまたラストに至って重要な意味を持つ。
あまり詳細は書きたくない、今年後半随一の上等な傑作、必見。