映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「少女娼婦 けものみち」監督・神代辰巳 at シネマアートン下北沢

'80年にっかつ作品。この、褐色のひどいプリントを2006年の今観て、つくづく神代辰巳という監督が経済や政治や思想といった時代性に組せず、ひたすらに「男と女はアレしかない」という映画を撮り続けたのだ、と再認識する。トラックの運転手と女、という「赫い髪の女」('79)と似たような設定で、人物がまっすぐに普通に歩くカットが1カットもなく、くねくねと蛇行する姫田真佐久(ちょこっと自身が登場している)のキャメラ、時に不明瞭な台詞、とほかの神代作品と何も変わらない「けものみち」。強烈に監督の個性を放つ作品が1980年にはまだ陸続とつくられていたのだと感慨。