映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「美しい人」監督ロドリゴ・ガルシア at テアトル梅田

ロドリゴ・ガルシア監督のデビュー作「彼女を見ればわかること」('00)は力みが見られてあまり好きではなかったが、似たような短編小説スタイルの今作は、9つの物語を9カットで撮り上げる演出力の進化が目覚ましい。1エピソード1カットの為、照明は最低限かあるいはノーライトで撮られており、ルックはざらついたイメージだが却ってそこが成功している。1つのエピソードでむき出しのプライヴェートを晒した人物が、別のエピソードでパブリックな立場で冷静に振る舞い、そのエピソードに於いてのプライヴェートとのコントラストを成す構成も巧い。
散文的で「オチがない」人生のほんの一部を切り取ったリアリスティックなエピソードの連なりの最後、9つ目のエピソードに魂を揺さぶられるシュールな「オチ」を見せつけられる。泣けた、素晴らしい。お勧め。