映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ふるさとをください」監督・冨永憲治 at ポレポレ東中野

和歌山県の風光明媚な町につくられた精神障害者の自立支援作業所。地元住民は建設に猛反発。折しも反対同盟の代表(ベンガル)の娘(大路恵美)が県庁に就職、故郷に戻って来る。娘は作業所の人々と触れ合うようになるが、それによって父と対立してしまうことになる…というお話し。
撮影と美術のスタッフが一緒に仕事をしたことのある人なので、その製作現場の苦心が忍ばれてしまい、明確な批評はしにくいが、この「きょうされん」と言われる自立支援組織の存在と実情を知ったことは収穫。中山仁が扮する精神科医が「君たちの不幸は(ケア体制の遅れた)この国に生まれたことだ」と統合失調症の人々に言うのは言い過ぎだと思うが、それでもこの映画は我々の無知を撃つ。