映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「BALLAD 名もなき恋のうた」監督・山崎貴 at 東宝関西支社試写室

原案は「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」。
いじめられている女の子を助けることもできない弱虫の小学生真一(武井証)が戦国時代にタイムスリップ、愛する姫(新垣結衣)の為に弱小軍を率いて城を守る武将(草磲剛)と出会う。姫は春日国のお家を守るため悪逆非道な大名大倉井(大沢たかお)と結婚させられそうになるが、同じくタイムスリップして来た真一の父(筒井道隆)から、未来には春日国は存在しないと聞かされた姫の父である城主(中村敦夫)は翻意、激怒した大倉井は春日国に攻め入る…というお話し。冒頭、溝口健二監督「山椒大夫」('54)を思わせるシーンから始まったかと思えば香川京子が出て来る。城主の取り巻きには黒澤明ファミリーの油井昌由樹、衣装デザインは黒澤和子と、山崎監督の時代劇映画を撮る喜び(しかも東宝だ)と映画愛は充分伝わって来る。が、古今東西あまたあるタイムスリップものの常道からはずれるものでもなく特に新味はない。斬っても斬られても一滴の血も流れないのは子供向けを意識してのことなのかな。「クレヨンしんちゃん」版が見たくなった。草薙剛好演。9月5日公開。