映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「九月に降る風」監督・林書宇 at ユーロスペース

1996年、台湾新竹市のある高校が舞台。煙草、ビールはやるが犯罪的なことまでには至らないワルグループの青春を台湾プロ野球八百長事件を絡めて描く。
いつの時代にもある青春映画のパターンを踏襲しているのだが、それでもなお誰にでも思い当たる思春期の思い出や気分とシンクロするのは楽しい。「インファナル・アフェア」シリーズ('02〜'03)を始め、かすれ声でがなりたてるヤクザ役の多い曾志偉(エリック・チャン)が寡黙な父親役でちらっと出演していたので意外に思ったら、本作のプロデューサーだった。今や日本や香港では絶滅の危機にある爽やか系青春映画をきちんとつくっておきたかったのかも知れない。
林監督が考えに考えたであろうひねりの効いたラストはアッパレ。