映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ゼロの焦点」監督・犬童一心 at 東宝関西支社試写室

言わずと知れた松本清張のベストセラー二度目の映画化。前作は'61年野村芳太郎監督作品、久我美子主演。
野村版では雪の能登半島ロケが印象的だったが、今回は金沢を舞台の中心にしてスケールアップ。何といっても韓国でロケされたという1957年の金沢市街を再現したオープンセットに目を奪われる。もともとミステリーとしては「むりくり」な部分があり、今回もその辺りを充分承知で脚本が練られていて、明らかに野村版(脚本・橋本忍&山田洋次)より良く出来ているリメイクとしては大変珍しいケース。後半の展開は原作とかけ離れて行くが違和感は感じられなかった。また「ヴィヨンの妻」に続き、東宝撮影所美術部の繊細かつハイセンスな造形は感動的。
"薄幸女優"木村多江はここでは看板そのままの薄幸ぶりで面目躍如。何といっても中谷美紀が素晴らしく、ベストアクト。
IMJエンタテインメントが製作に加わっており、その一員である犬童監督、原作にはない「市長選挙当選」は、神戸へのエールと見た。佳作、お勧め。11月14日公開。