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「座頭市 THE LAST」監督・阪本順治 at 東宝関西支社試写室

 プレスシートによると映画版の座頭市というのは通算28作つくられているそうだ。ということで「THE LAST」は29作目。
開巻30秒で、阪本順治監督のただならぬ気迫が画面から伝わって来る。凡百の、昨今量産される薄っぺらいテレビドラマの延長作品(それらを映画とは呼びたくない)に対して「これが映画だ、日本映画だ」と刃を以て反駁するショットの連なりに感動を禁じ得ない。何せ薄っぺらの代表、ハットリくんやら孫悟空やらを演じていた香取慎吾による座頭市である。断じてその予断を打ち消さなければならないという始まり方でもあった。
キャメラ(笠松則通撮影監督)はもう完璧じゃないかというくらいに素晴らしい。そして役者も全員素晴らしい。反町隆史はこれがベストアクトだろう。この人誰も言わないけど凄い役者になったと思う。岩城滉一のヤクザの親分はどうしてこんなに情けないんだろう、という点は気にはなったが、香取慎吾の怒りと悲しみを湛えた壮絶な殺陣、五社英雄作品を思わせる仲代達矢の傾きっぷり、そして泣かせに徹する加藤清史郎と見どころてんこもり。
 ラスト、あの海のあのワンカット、きっとあれがこの映画の映画たる一瞬だろう。阪本順治監督が徳俵に踵をかけながら質的に凋落する日本映画をひとりで押し戻そうとしているようにさえ見えた。
傑作、お勧め。5月29日公開。

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