映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「モンガに散る」監督ニウ・チェンザー at シネマート六本木

1980年代の台北、モンガと呼ばれる町。
ある高校に転校して来たモスキート(マーク・チャオ)はイジメと恐喝の餌食となるが、ひょんなきっかけで4人組の不良グループに助けられ、仲間となる。このグループのリーダー格がヤクザの親分の息子だったことから、彼等も舎弟としてリクルーティングされるも、気性が一番荒いモンク(イーサン・ルアン)が頭角を現し、出所してきたばかりで狂犬と呼ばれる敵対組織の男と組み、旧勢力たる親分衆を次々に暗殺して行く。血の絆で結ばれたと信じていたモスキートはモンクが親分を殺したのではと疑うが…というお話し。
近年の井筒和幸監督の一連の作品を彷彿とさせる悪ガキの自滅ぶりである。しかし台北の、南国の太陽と緑、そして赤と黄色の中華独特の色彩を纏うルックはどことなくリリカルで、音楽のセンスの良さも相俟って陰々滅々な後味はない。侯孝賢監督作品の俳優だったチェンザー監督(本作でも俳優兼任)の現場で培った演出術は大きなスケール感があり、何より全力投球で映画をつくっている汗と脂の匂いを感じさせる。
所々に中森明菜のブロマイドが見えるが、台湾でも人気があったのだろうか。佳作、お勧め。
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村