映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ブルーバレンタイン」監督デレク・シアンフランス at TOHOシネマズシャンテ

 NY郊外。広い庭で犬を探す少女から始まる。母シンディ(ミシェル・ウィリアムス)と父ディーン(ライアン・ゴスリング)の平凡な朝食風景。やがて犬が車に轢かれて死んでいるのを見つけるシンディ。悲しみに暮れるシンディとディーンだが、どこか隙間風の吹いている夫婦に見える。ここから映画は過去へと遡り、二人の出会いから描かれる。それは前科のある引っ越し業者の従業員であったディーンと、医学部を目指すシンディの「切ない」格差結婚であった。
世界中のどこにでもある男女の出会いと決別を時系列をずらすことでスリリングに見せて行くことに於いては新鮮味があるが、最早私の世代からは「結末の見えている所詮無理な結婚」に見えてしまい、若い、いや幼い。シアンフランス監督は年齢不詳だが恐らく30代、描かれている世界と同世代なのであろう。思い入れたっぷりでその点では見る世代を選ぶ映画なのかも知れない。監督の顔写真を見るとディーン役のライアン・ゴスリングと似ていなくもない。
imdbのデータベースによると製作費は100万ドル、フィルムはスーパー16ミリ。インディーズでもここまで立派につくれることには感嘆する。「ブラック・スワン」もそうだがスーパー16ってまだまだ活路あるなぁ。今作でも素晴らしく質感が良い。
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