映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「探偵はBARにいる」監督・橋本一 at 109シネマズHAT神戸

東直己「バーにかかってきた電話」が原作。
舞台は雪の札幌、BAR「KELLER OHATA」の黒電話で仕事の依頼を待つ探偵(大泉洋)とその相棒で医学生の高田(松田龍平)。今宵かかってきた電話はコンドウキョウコと名乗り、ある弁護士に会ってあることを訊いてくれ、というもの。その通りにした探偵は荒っぽい連中に拉致され、雪原に生き埋めにされてしまう。這々の体で逃げ出した探偵は、両刀使いの新聞記者(田口トモロヲ)の紹介で高級クラブのママ沙織(小雪)を紹介され…これ以上は知らずに劇場へどうぞ。
コンドウキョウコの電話の声がウィスキーのCMでお馴染みのあの声あの口調なので観客としては早々に沙織と同一人物であることが分るのだが、そのことで観る側を混乱させつつ、エピソードの点と事件の全体像を繋ぐ線が徐々に浮かんで来る構成は緻密且つ憎らしい程巧い(しかもドンデンと裏切られます)。
大泉洋は最高の適役を掴んだと思う、そして「まほろ駅前多田便利軒」('11)に続いて飄々ぶりに磨きがかかっている松田龍平、気色の悪さが新境地というか実はこっちの方が向いているのではと思える高嶋政伸と役者はみんな良い仕事。関西組織のドン親子が何故か標準語なのは惜しいが(だからか、大泉はそのシーンでワザと変な関西弁を話す)。
クラシックな東映調のルックが嬉しい、素晴らしいスピード感あふれる演出、プロ映画人の腕の確かさと気概、久しぶりにスカッと楽しいお代に損はない佳作、お勧め。
お客が入っているらしいので続編にも期待。

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