映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「密告・者」監督ダンテ・ラム at シネウェーブ六甲

現代の香港、組織犯罪担当の刑事ドン(ニック・チョン)は、元犯罪者を捜査対象組織に潜り込ませその情報を元に一網打尽にする作戦の指揮官である。が、ある麻薬取り引き現場での作戦に失敗、潜入させていた男(リウ・カイチー)は警察に密通していたことがバレて瀕死の重傷を負ってしまう。ドンは新たな密通者として刑務所から出所したばかりの元レーサー、サイグァイ(ニコラス・ツェー)をスカウトする。彼には売られてしまった妹を身請けする金が必要だった。サイグァイは宝石強盗団に運転手として潜入、そこでかつて逃走途中で出くわしたディ(グイ・ルンメイ)という女と再会する。ディは組織の一員の情婦で妊娠しているという…というお話し。
英語タイトルは「The Stool Pigeon」、直訳すれば「止まり木の鳩」だが辞書には「スパイ」とある。香港映画お得意のアンダーカーヴァーものだが、元犯罪者という点が新味。そして刑事ドンをはじめ、潜入者サイグァイもディも各々暗い過去を引きずり、情に脆い故非情に徹しきれなくて失敗を重ねるところが面白い、いや切ない。キャメラは素晴らしく、香港中心街をドーンとロングで捉えたかと思えば狭い市街地をステディカムがすり抜ける。欧米映画の強盗に比べると数段荒っぽく無茶しよるし、カーチェイスはしびれる迫力。毎度言うのも嫌だが日本では不可能。
何よりラム監督、映画が分ってる人だ。廃校のロケーションとアクションの執拗ぶり、そしてディーン・マーティンの「ホワイト・クリスマス」に鳥肌。
佳作、お勧め。香港、韓国に負けじと頑張ってる。

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