映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「サニー 永遠の仲間たち」監督カン・ヒョンチョル at ヒューマントラストシネマ有楽町

 韓国、ソウル。家庭のテレビには全斗煥の姿。労働運動をしている、ヒロインイム・ナミの兄を指して「収容所に入れられるよ」という台詞がある。北朝鮮ではない、韓国にも思想犯収容所があるということ。そういう時代1986年。
 物語は現在のイム・ナミ(ユ・ホジョン)の平凡だが裕福な日常から始まる。入院中の母の見舞いに行くと別の病室に見知った名前が掲げられている。高校時代の同窓生ハ・チュナ(ジン・ヒギョン)だった。20数年ぶりの再会だったがハ・チュナは末期ガンで余命2ヶ月の身。イム・ナミはコミュニケーションの取れない高校生の自分の娘を案じつつ、かつて自分達がSUNNYと名乗った女子グループの仲間探しを始める。ある者は保険の外交員、ある者は富豪夫人、そしてミス・コリアを夢見た少女は場末のホステスに身をやつしていた…
 大映ドラマのようなケレン味たっぷりの大げさ、東映女番長シリーズのようなすれっからしぶり、最早吉本新喜劇でもやらないようなクラシック級のギャグ。開き直ったかのようにぐいぐいと押しまくって来るコッテコテなストーリーだがツボは見事に押さえている。民主化運動デモ隊と機動隊の衝突に女子高グループ同士の抗争を紛れ込ませ、その後ろに「ロッキーIV」('85)の看板。タバコの吸い殻を巡る伏線、「ラ・ブーム」('80)の主題歌の使い方。イム・ナミが自分の娘をいじめた連中におばちゃんSUNNYが殴り込みそして逮捕の無茶、ようやるわ、正直呆れるほどだ。
 このくらいの娯楽映画が我が国ではもうつくれない、「SATC」が元ネタだと想像するが本家よりオモシロイ。



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