映画的日乗

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「ダークナイト・ライジング」監督クリストファー・ノーラン at OSシネマズミント神戸

クリストファー・ノーランが描くバットマンシリーズとしては3作目。第1作「バットマン・ビギンズ」('05)から第2作「ダークナイト」('08)、そして本作とストーリーは続いており、本作に於いて、壮大な物語はひと区切りつけられることになる。
どんでん返しもあり、未見の方の為には「見るべき」ということ以外中身に関しては触れない方が良いであろう。
エピックの終章としてのテーマはREVEAL=剥ぎ取り、あばく=あばかれる、といったところか。開巻の飛行機内に捕われた覆面の男達、覆面を取られるとさらにそこに口の周りを何かで覆ったような巨漢の男、ベイン(トム・ハーディ)。一方、引きこもり状態のブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)=バットマン。新たな敵ベインを得て、嬉々として覆面を着けバットマンとして返り咲くものの、ベインに完敗、覆面を剥がれる。一貫して映画的なアクションとしてのREVEALに、ベインの正体、バットマンの正体、そしてウェイン財閥乗っ取りの「真犯人」の正体といったストーリーラインとしてのREVEALが編み込まれている。ジョーカー=ヒース・レジャー、その空前絶後のキャラクターを上書きすることを避けたのは賢明であり(私如きに言われるまでもないことか)、それよりも絶望的な世界とは何か、を現在進行形の現実世界に重ね合わせて表現していることに重点を置いている。橋桁から吊るされる死体や人民裁判はイランやアフガニスタンイスラム過激派を想起させる。ベインによって開放される刑務所の囚人達に与えられる武器がカラシニコフであることもそれを示唆している。そしてキノコ雲、核の恐怖。大ウソをリアリズムで描くことこそが娯楽映画の神髄であることを今ハリウッドに於いて知り抜いているのはノーラン監督だけではないかとさえ思わせる。
次章の始まりを予感させるエンディング、自らに更に高いハードルを越えることを課しているかのように見えた。佳作、お勧め。


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