映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「最強のふたり」監督エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ at TOHOシネマズ渋谷

伊丹空港よりNH26便で羽田空港着。

フランス映画としては異例の大ヒット、予告編を見た限りではピンと来なかったのだが、そうか基本的に寅さん的人情モノだったかと見終わって納得。
レダノ&ナカシュの共同監督、兄弟監督は何組もあったが他人丼は珍しい。私生活も一緒なのかとラストのオチのひとつが暗示させていた。
ちょっと面白い演出なのが定点観測的ショットの多用。同ポジションでアクションを撮り続け、中抜き的に時間を端折る。珍しいやり方ではないが繰り返し使うことで登場人物達の想い出としてのひとつひとつの映像となって記憶に残る。
一方で深夜のカフェ、発作を起こしたフィリップ(フランソワ・クリュゼ)が、彼を連れ出したドリス(オマール・シー)と語り合うシーン。いくつかの過去が明らかにされた後、ドリスがふいにケーキを注文する。ギャルソンとのやり取り、そして再び語り合う。ここでは時間の中抜きを一切しない。登場人物達の心の融合をつぶさに目撃出来るというニクい演出。
プライドが邪魔して崩せなかったおフランス流をドリスの寅さん的哲学の視点を借りて突き崩して行く快感はフランス人以外の欧米人の感覚だと思う。それからこれまでのフランス映画になかったアメリカン・ポップス(EW&F)とブルース(ニーナ・シモン)の効果的な使い方、恐らく欧州ではキワキワだと思われるヒトラーのコント、なるほどなるほど人情話の古い革袋に新しい酒、という訳か。巧い、感心した。
原題は"Untouchable"、邦題より1万キロくらい深い。



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