映画的日乗

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「アルゴ」監督ベン・アフレック at 109シネマズHAT神戸

期待のベン・アフレック監督第3作。
1979年のイラン駐在米国大使館員人質事件に於ける知られざるエピソードの映画化。エンドクレジットによると1997年に当時のクリントン大統領が解禁するまでこのCIAによる極秘作戦は世間の耳目にはのぼらなかった。また、本作のプロデューサー、ジョージ・クルーニーに脚本を渡されるまでアフレック監督も事実とは信じ難かったらしい。
冒頭、懐かしい赤字の白ヌキの旧ワーナーのロゴ、アフレック監督はここから既に観る者を1979年へと引きずり込む。徹底したリアリズムだ。imdbのテクニカル・スペックによると8ミリも使っており、35、16スーパー、8スーパーを適宜使い分けているようだ。そしてCGなし、デジタルキャメラなしの気概。反米、というより米国への憎悪(それは米国の自業自得であることをきちんと冒頭にアニメーションで見せてくれる)で荒れ果てるイランの暴力的なテンションと、斜陽のハリウッド(HOLLYWOODの看板が朽ち果てている)の撮影所での牧歌的なシークエンスを交互に描き、やがてこれがCIAによる奇想天外な作戦によって結びつく、笑っちゃうようなホントの話しを観る者に「信じ込ませる」に足る演出は通俗的な手だれのフィクションづくりを避けていて秀逸。
CIAのエージェント、メンデス(ベン・アフレック)はテレビで「最後の猿の惑星」('73)を観てこの作戦を思いつく。メンデスは何故かこの映画のスタッフと知り合いでハリウッドへ飛んで作戦実行メンバーに加える。データベースによると確かにこの映画にメイクアップ・デザイナーとしてジョン・チェンバース(本作ではジョン・グッドマンが演じている)がクレジットされている。余談だが、このチェンバースが証人として登場する"The CIA In Hollywood"('01)というドキュメンタリーがあるんだね。
という訳で徹底的に事実を尊重しているらしく、サスペンスとしての仕掛けや伏線は殆ど無い。つまり「つくってない」。6人の、カナダ人映画クルーに化けた米国大使館員が空港から旅客機に乗って脱出出来るかどうか、という一点に向かって突き進むストーリーライン。単純だがディテールが細かいので手に汗握る臨場感だ。
ええ加減だが気概あふれる映画プロデューサーを演じたアラン・アーキン、このマニアックなキャスティングに応えた名演。ちなみにアーキンはこの事件の年である1979年に「あきれたあきれた大作戦」に出ている。これCIAの作戦に巻き込まれる話しだったと記憶している。アフレック監督、恐らく知ってのキャスティングだったんじゃなかろうかと。
とまれ、ハリウッド目下唯一の希望の星、ベン・アフレック監督作品を見逃すな!
お勧め。


「あきれたあきれた大作戦」予告編


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