映画和日乗

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「ムーンライズ・キングダム」監督ウェス・アンダーソン at シネリーブル神戸

ブルース・ウィリスエドワード・ノートンビル・マーレイフランシス・マクドーマンドティルダ・スウィントンそして冗談だろハーヴェイ・カイテル。これだけのキャストが揃えられれば名うてのプロデューサーなら大アクションも大スリラーも大サスペンスもミステリーも当てはめることが出来るだろう。が、彼等はそんな映画の為に集まったのではない。変テコなウェス・アンダーソンのこの小さな世界に集ったのだった。
話しは別段どうということはない。11歳の、大人から異端視されて来た少年少女が文通で知り合い、恋に落ち、駆け落ちする。小さな島の田舎町でそれだけのことが展開するに過ぎない。「小さな恋のメロディ」('71)も「リトル・ロマンス」('79)もあった。が、Kingdum=王国とタイトルにある通り、この島がひとつの国であり、ボーイスカウト(ここではカーキスカウトと呼ばれている)はさながら軍隊である。全ては箱庭的縮尺の世界で機能し、恋も諍いも戦争もあるのだがそれらは縮尺されているのだ。この縮尺された世界、が大人社会や世界情勢のメタファーかというとそうでもない。監督ウェス・アンダーソンにはそんな図式的な意図はなさそうで、ひたすらにデザイン優先主義の映像と微苦笑的コメディセンスに終止する。
それがどうした、なんだけどこれを確信犯的にそして徹底的にやってのけたアンタはエライ。


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