映画的日乗

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「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」監督アン・リー at パルシネマしんこうえん

今年のオスカー4冠、監督李安はこれで監督賞を受賞。アジア系監督としてはアカデミー史上初、台湾では最早国宝級待遇。エンドクレジットで台湾企業が出資していることも知る。CGスタッフに中華系、日本系の名前が目立つ。
邦題タイトル通り、227日間ベンガル虎と漂流する青年の話し。そんなので2時間強の映画が持つのかという心配は杞憂、テーマは自己と他者の関係性。主人公パイの少年時代、虎に素手でエサを与えようとして父親にこっぴどく叱られる。その時の父親の台詞「虎の目に映っているのは自分の心だ。虎の心ではない」、これに全て集約されている。他者への思いやりは時に多大な勘違いを引き起こす。そして我欲が他者の行動を規定するのは傲慢であるということ。これが映画のラスト、振り向いてくれない虎に対する「悟り」に繋がって行く。宗教対立を続ける人類への皮肉と警告にも見えなくない。
圧倒的ビジュアル、究極のCGテクニックに目が眩む思いだが、ディズニーにはない寓話の哲学性をこそ愉しむべき知的体験。佳作、お勧め。


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