映画和日乗

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「GODZILLA」監督ギャレス・エドワーズ at 109シネマズHAT神戸

ハリウッドに「嫁」に出した思いで各方面いちゃもんやら落胆やら喧しい評価だが、これはキネマ旬報7月下旬号の金子修介監督の指摘の通り、「ガメラ大怪獣空中戦」('95)が下敷きになっていることは想像に難くない。ゴジラと対峙するムートーなるつがいの怪獣は見てくれからしてギャオスに似ているし、ムートーなる命名もどこか日本的。ハワイのモノレールがムートーに襲われるシーンは「ガメラ」に似たようなシーンがあったとすぐ想起した。
EPとして「ゴジラ対ヘドラ」('71、私が封切りで観た初めてのゴジラ映画)の監督板野義光氏の名前がクレジットされているが、全体的に本家ゴジラ、元祖ゴジラへの目配り気配りが効いている。3.11の福島、8.6の広島という放射能を巡る人類の愚挙への批判も盛り込まれ、なかなかギュウギュウと詰め込まれた脚本。フルショットでゴジラの全身を捉える瞬間を後へ後へと引き延ばす演出も巧い。怪獣同士の戦いが長いとは感じたが、鉄道マニアが延々と鉄道が走っている映像を好むのと同じ趣向か、とまぁそれはそれ。