映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「予兆の森で」監督シャーラム・モクリ at ユナイテッドシネマ キャナルシティ

イラン映画テヘラン郊外の湖の畔で開かれる凧揚げ大会に参加する若者達と、それとは全く関係のない「食堂」を営んでいるという、全くそんな風には見えない怪しげな男二人が交錯する。物語らしい物語はないのに134分1カットという驚嘆の技術。観る者は「何か恐ろしげなことが起こるのではないか」という予兆のみでひっぱられるが、途中でこれまで体験したことのない映画の迷路に迷い込む。134分1カットという、切り刻みようのない時間で流れて行く筈なのに、時に時間が後へ後へと戻って行くループ感覚(つまり134分なのに134分ではないのだ)、ラビリンスに酔う。今映画祭で最も新しく、刺激的だった1本。