映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「聖者たちの食卓」監督フィリップ・ウィチュス&ヴァレリー・ベルト at アップリンクX

自身が料理人というウィチュス監督と彼の奥さんの手によるドキュメンタリー。
インドの、デリーより北、パキスタンとの国境に近い町にある黄金寺院で毎日10万人に振る舞われる無料のカレー食堂。その材料たるジャガイモの掘り起こしからニンニクの皮むき、タマネギ刻みを粛々と行う人々を移動しないフィックスのキャメラフレームで淡々と捉えて行く。圧倒的な量の素材から生まれるカレー(3、4種類くらいある)をこれまた美しいまでの流れ作業で運ぶ。やがて時が訪れ、食器を持ったもの凄い人だかりが先を争うでなく寺院に入り、配給されるカレー、ライス、チャパティを黙々と、しかし楽しそうに味わう。おかわりは自由のようで足りなくなるとカレーが次がれチャパティが配られる。食事が済んだら片付け、皿洗い。そしてまた次の日が訪れ…恐らくは共産主義が目指した理想的社会の一環を見る思い。イデオロギーに於いてそれは失敗し、世界中で破綻を来したのだがシク教なる宗教のもと、ここインドには神々しく現存する。ちょっと心洗われる気分になれる映画。