映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「猿の惑星:新世紀(ライジング)」監督マット・リーヴス at TOHOシネマズ渋谷

猿の惑星」シリーズは見ていたり見ていなかったりで歯抜け状態なのだが、今作の直前作「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」('11)を未見のまま見ることになったものの、それほど混乱もなく話しに入って行けた。
舞台はサンフランシスコ、猿インフルエンザで絶滅の危機に瀕している人類(エボラ出血熱のことを考えるとあながち絵空事ではない)と、爆発的に増えてしまった猿。猿達の住む森の奥には水力発電所跡があり、人類のあと僅かだという電力エネルギーを再生する目的で代表団が猿との交渉に赴く。ハト派タカ派。猿との友好条約の上で電力開発をしたい者と、猿を追い出して人類が支配すると企てる者。一方猿側も同じでこの利権を人類との和平交渉に使おうとする者と、人類から武器を奪って猿社会のトップに立とうとする野心家。まるで石油利権を巡るアメリカ中心世界の歴史を見る思いだ。やたらと武器を構えて攻撃する姿勢は米国の国家気質そのものだし、武器=戦争による主権争いは中近東に限らず世界中至る所で繰り返されている。続編を意識した終わり方をするので本作の内にはこの戦争論はカタが付かないものの、猿の眼差しは示唆に富む。