映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「駆込み女と掛出し男」監督・原田眞人 at 109シネマズHAT神戸

この原田監督作品も、滋賀県近江八幡市での撮影現場を見学させて頂いていたので完全には客観的にはなれないが、是非多くの人に見てもらいたい仕上がり。
アバンタイトルがいつもの原田作品と違い市川崑風、と思えば大泉洋は「幕末太陽傳」('57)の居残り佐平次を思わせたり、「どん底」('57)の三船敏郎の出で立ちに似ていたり。はたまた「赤ひげ」('65)そのまんまのカットがあったり、ドン・シーゲルの「白い肌の異常な夜」('71)もちょっと入ってて映画的記憶を見つける楽しみがある一方、市井の女性達の被る人権蹂躙ぶりや、権力による思想弾圧、文化切り捨ては現代日本社会のメタファーでもある。尺の関係で恐らくはカットされたであろうシークエンスは想像で補うとして、この色鮮やかで瑠璃の光を思わせるルックに支配された未だ見たことのない映画的江戸の楽しさを堪能した。何より原田監督自身の、初時代劇を創造する悦びに満ち溢れているように見えた。
戸田恵梨香好演、佳作、お勧め。


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