映画和日乗

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「キングスマン」監督マシュー・ヴォーン at TOHOシネマズ梅田

本作を見ながら、監督マシュー・ヴォーンは「007/ムーンレイカー」('79)の公開時は幾つだったのだろう、と考えていた。あとで調べると'71年生まれ。ということは本作で披露される数々の007シリーズ(それも3代目ロジャー・ムーアの頃までの作品群)へのオマージュは、リアルタイムで観ている作品の方が少ないという推測が成り立つものの、ロバート・ヴォーンを父に持つ(血縁関係はないそう)ということは身近にナポレオン・ソロがいた訳でこの「キングスマン」を監督するのは映画史的な必然であったというのは映画狂いの戯言か。
それらスパイアクション映画への粋なオマージュだけではない、二重三重にモチーフが絡んだ脚本が素晴らしい。
英国は米国に追随することで誇りを失っている、そしてこのままでは破滅へ向かう、という強烈なメッセージ(極東のどこかの国にも当て嵌まる)、英国流のダンディズム、騎士道精神は品格の教育によって継承されるのであり、その断裂を作り手側が憂いている(これもまた極東のどこかの国に当て嵌まる)のも明白だ。
一方で「キックアス」('10)から続くヴォーン流お下劣も健在。痛烈な現代社会批判とシャープなエンターテイメントにお下劣エッセンスを配した映画的センス抜群の傑作。お勧め。



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