映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「007 スペクター」監督サム・メンデス at TOHOシネマズ西宮OS

オープニングタイトルは昔のスタイルに戻った。主題歌クレジットもバーバリアン的男性優位の復古調。そして物語のオープニングはメキシコ、どこかで見た仮面祭りだと記憶を喚起するとそうだ、エイゼンシュテインの「メキシコ万歳」だ。クラシック、がここでも匂う。テロがその標的にされた国と表面上は敵対するが、裏ではマッチポンプで標的にされた側の利権を増強している、という構図は頗る現代的でこの映画が撮影された時期と、現時点での世界情勢を照らし合わせると予言的ですらある。
心なしか五月雨式にカットを割る編集を抑えて芝居場をじっくり見せている気もして、そこもまた原典回帰か。
既視感もまた楽しい、「女王陛下のOO7」('69)がビジュアルの底流に流れ、そこに「二度死ぬ」('67)やら「ムーンレイカー」('79)のヘリコプターアクションが透けて見える遊び心。さらには極め付け北アフリカを走る列車に、何でまた白タキシードをわざわざ持ち込むのボンド君、それはあの「ロシアより愛をこめて」('64)の列車内格闘をやる為だけのようなもんだろう、というこのシリーズを見続けている観客への渾身のサーヴィスぶり。
そして今作、何と「カジノロワイヤル」('06)から始まる5代目ボンド、ダニエル・クレイグの4作品が大河ドラマとして繋がっているという点。そしてスペクターといえばブロフェルド。このブロフェルドの再召喚という強引ギリギリな設定の脚本には恐れ入る。
エンディング、2代目ジョージ・レーゼンビーとダイアナ・リグのようになるのか(ブロフェルドが拳銃を持っているんじゃないか)、とハラハラした貴方と私は立派な007マニア。
佳作、お勧め。これまでの23作品を予習復習すると10倍楽しめます。