映画的日乗

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「黄金のアデーレ 名画の帰還」監督サイモン・カーティス at シネリーブル神戸

LAの墓地での埋葬シーンから始まる。英国が誇る名女優、ヘレン・ミレンの「見事な」ドイツ語訛りの英語での挨拶、亡くなった姉の棺に記されたダビデの星。もうこれだけでナチスとそのユダヤ人迫害をめぐる波瀾万丈のドラマが展開することを暗示しているという映画的演出のセンスの良さにまず安心。が、過去と現在を行き交う構成の中で、第二次世界大戦前から戦中までの過去の描写にクリムトの絵画のような艶がない。imdbの記録によると、すべてデジタル撮影されたようだが、オーソドックスというよりは凡庸な印象。
オーストリアの芸術を巡る深い因果、法廷劇、ナチスとの闘い、逃走のサスペンスと映画的な要素はてんこ盛りで監督の演出も手堅いが、なんとなく格調に欠けるのが惜しい。セットにお金がかけられなかったのだろう、その点は同情します。


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