映画的日乗

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「スポットライト 世紀のスクープ」監督トム・マッカーシー at TOHOシネマズ梅田

ボストンの新聞社が舞台、「大統領の陰謀」('76)や「ザ・ペーパー」('94)を想起させる内容だが、その「ザ・ペーパー」にも出ていたマイケル・キートン、ここでも素晴らしい。この映画、惚れ惚れするほど役者が良い。マーク・ラファロの毎度の化けっぷり、変骨弁護士役のスタンリー・トゥッチも見終わるまで気がつかなかった。アメリカ映画の、こうした役者の層の厚さが映画のクオリティを支えている。
その俳優出身の監督トム・マッカーシー、脚本兼任、丁寧で細かい仕事だ。ロビー(マイケル・キートン)が旧友の弁護士に正義の立場に立て、と顧客の秘密の暴露を迫り跳ね返される。しかし、彼の家を出たところでその弁護士が彼を追ってきて言い放つ、お前はどうなんだ、と。痛いところを突かれ即座に自省するロビー。ここがこの映画のキモだった。綺麗事の、一直線の正義漢ではない人間臭さ。性犯罪を犯した中年神父が悪びれる様子もなくそれを語る姿も、そのようにしか生きられないカソリックの組織の犠牲者とも受け取れる。アメリカ社会の闇を暴きつつ、人権をないがしろにしていた責任を特定の個人になすりつけない姿勢が潔い。ラストのキレが見事。佳作、お勧め。


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