映画和日乗

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「野火」監督・塚本晋也 at 淀川文化創造館シアターセブン

公開後1年経ってようやくアンコール上映での鑑賞。
これまでもその殆どの作品が、映画作家塚本晋也の脳髄から眼球に映写されて、眼球からフィルムに焼き付けられるかのような、客観よりは主観であることを是とした映画をつくり続けてきた人だと思う。
その塚本晋也大岡昇平の原作を感じたままに、そして自身が主人公を演じることで強烈な主観としての戦争体験をぶつけて来る。
映画製作の資金提供が得られず、孤立無援であることでスケール感を損なっているようには見えない。むしろ今までと同じく、今回は爆音と主演の肉体と共に、塚本監督の脳が感じるままの映像を渾身にぶつけて来る、炎の石飛礫のような迫力だ。巷間言われるような残虐性はむしろ感じなかった。画面から迫り来る、ひとりの映画作家の幽鬼の如くの佇まいに感動した。


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