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「夜に生きる」監督ベン・アフレック at 神戸国際松竹

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ベン・アフレック監督長編第4作。脚本、主演兼任。
1926年、禁酒法時代のボストンが舞台。密造ラム酒の利権とそれを販売するSpeak Easyの縄張り争いをするアイリッシュ系とシチリア系マフィア、当初どちらにも属さず強盗専門だったジョー(ベン・アフレック)があるヤマをしくじり懲役へ、出所後自分の女を利用して捨てたアイリッシュ側のボスに復讐する為、シチリア側についてフロリダへ。ラム酒製造販売の利権を一手に握るが‥‥というお話。

古き良きアメリカン・ギャングムービーの佇まいと、艶やかに冴えに冴えるロバート・リチャードソン撮影監督のルック。

警察幹部だったジョー父親の、敵対する相手を貶める為の手口を会得して、それを随所で活かす脚本構成、頭が良くて利に聡い割には女の情に弱く、そのせいで火傷を負う浪花節ぶりがアフレック監督の真髄。

アフレックの出身地ボストンが舞台というのは監督第2作目「ザ・タウン」('10)と同じ、あれもまた銀行強盗団の話だったが何か出自に関わる拘りがあるようだ。そうでもなければ今時禁酒法時代のギャングムービーを熱心に作り上げようとはするまい。中盤から登場するフロリダの警察署長フィッギス役、クリス・クーパーが良い。カソリックの戒律を巡る因果応報が脚本の重大なファクターとなっており、このフィッギスとジョーがそれを交互に体現する。さて罪とは何か。

ナチス台頭のニュース映画がかかる映画館の西部劇にアフレック監督の映画愛を感じる。この人ほんまに映画が分かっている人。

傑作、邦題が酷いので無視されそうなのが勿体無い。お勧め。

 


Ben Affleck Talks New Film ‘Live By Night,’ Brother Casey Affleck’s Golden Globe Nod | TODAY