映画的日乗

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「メッセージ」監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ at 109シネマズHAT神戸

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「ボーダーライン」('15)が素晴らしかったヴィルヌーヴ監督最新作。昨年9月のサンセバスチャン国際映画祭でプレミアスクリーニングだった。

台湾系アメリカ人のテッド・チャンの小説が原作。これをヴィルヌーヴ監督がチョイスしたのは「2001年宇宙の旅」('68)への自分なりの挑戦であろうことは想像に難くない。

「2001」のモノリスに匹敵するのが今回の半月状の飛行物体。これが12ヶ国に1体ずつ現れる。すわUFOか、と接近遭遇を試みる米軍は、「未知との遭遇」('77)では音階でコンタクトを取ろうとしたが、ここでは言語学者ルィーズ(エイミー・アダムス)を召喚する。イカゲソのような異星人が現れ、墨絵のようなサークルをイカスミの如く吐き出す。それを解読しようとするルィーズと彼女をサポートする物理学者イアン(ジェレミー・レナー)。が、映画は徐々に対宇宙人とのコミュニケーションという伝統的なジャンルとしてのSFを突き破っていく。ルィーズの過去と未来という物理的な時間の流れを「読み替えて」行くのだ。それはメビウスの環のような体系なのだが、ここで書いても何のこっちゃなので映像を見て確かめてもらいたい。「新しい外国語を覚えると、思考もその国の言語に影響される」という台詞があるが、これが伏線。我々はただ単に地球上の時間の流れの中で生きているに過ぎない。墨絵サークルを解析し、体得したルィーズは「別の世界」の時間を知るという訳だ。それが天国、そう天国の新しい解釈を示しているのかも知れない。

と、映画を観終わって色々思考することこそこの映画の愉しみ方であろう。

佳作、お勧め。