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2015年のベルリン国際映画祭監督賞受賞作。
国際映画祭向けに「狙っている」感は否めないが、現代ポーランド社会の一端を見事に切り取っている。子を失い、大きな犬と暮らす孤独なセラピストの女性が、住んでいる団地の一角で目撃する抱擁してキスし合う若い男女。通り過ぎて、また戻ってじっと覗き見る。男は軍服姿で腕章にドイツの国旗がチラリ。そのセラピストの勤める療養所に集う、摂食障害でやせ細った女性たち。その無表情。かつてナチスに虐殺された女性達と、時代と理由は変われど同じような表情をしている。その中の一人が、監察官の父と暮らす味気ないアパート。二人で見ているテレビ番組は、キリストがユダヤ人だったかどうかの論争を映している。これらは全て繋がっているように思えた。
そしてこの映画に絶妙のタイミングで顕れるここにある世界と、もう一つの世界の繋がり。予備知識なしに観た方が絶対に面白い、もう一つの世界。
全ての登場人物の顔、よくここまでこだわって集めたと感服する程の、現代ポーランドを纏った寂しげな顔達。
佳作、お勧め。