映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「夜明けの祈り」監督アンヌ・フォンテーヌ at シネリーブル神戸

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1945年12月の、ポーランドのどこかの修道院が舞台。

微かに色を纏ったかのような黒と白の世界。修道衣の白と黒、陽の当たらない修道院の暗がりの黒と、壁ひとつ外の世界の白銀と。この、溜め息の出るように精緻で美しいルック(撮影監督カロリーヌ・シャンプティエ)は、極上の美的センスと共に気迫が漲っている。

疾病兵士(何軍の兵士なのかがよくわからない)を治療するフランス赤十字に「急患を診てくれ」と訪ねて来る修道女の一人。それをポーランド人は治療しない、と断る看護師(ルー・ドゥ・ラージュ、好演)が暫く後にふと窓外を見ると、極寒であろう雪降る土地に跪いて祈る先ほどの修道女の姿。看護師の心を翻意させるその映画的瞬間に涙が出かかる。

カソリック修道院の戒律と、現実に起こった修道女たち七人の妊娠。折り合いをつけようと論理性を探る修道女と、当然の人道主義から突き崩して行く看護師。

シスター長が処する、戒律と組織を保持する為の行為は、一見、キリスト教の戒律の欺瞞と非合理を突いているように見えるが、私はこのシスター長の心の奥底に睡る女の業の覚醒と受け止めた。妊娠が戒律に触れることよりも、自分が妊娠しなかった事と、七人が妊娠したことを比較しての意識的か無意識的かは別として、嫉妬ではなかったか。ネタバレになるので伏せるがシスター長はもう一つ背負わされる宿痾によっても、それは暗い炎として示される。

佳作、お勧め。