映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「散歩する侵略者」監督・黒沢清 at 109シネマズHAT神戸

sanpo-movie.jp蝉の声がしきりにするのに冬のようなルック。登場人物の服装も季節を推し測れない。警察官のジャケットに静岡県警とあるが静岡なのかどこなのかは分からない。人間が信じ込んでいる概念を一瞬にして吸い取る宇宙人と称する連中。映画は開巻から既に季節や場所の概念を丁寧に消し去っている。

が、しかし地球人(というか悲しいことに全員日本人)と侵略者たる宇宙人の闘いは狭く、小さい範囲だ。この日本映画という概念は崩れない。

ゴッドファーザーPART II」('74)の、キューバ革命が起こった瞬間に大晦日のパーティ会場に隊列をなして踏み込んでくる軍隊とそっくりなシーンが出てくるが、あれがやりたかったんだろうな。軍隊を映す、ということを。勿論黒沢監督は政治的意味合いは限りなくゼロに近いと思われるが。

笹野高史、笑える官僚役。全体のルックといい映画技術論に徹している。パンデミックに冒された群衆、爆発や火炎と言ったCGが悲しい。この次に観た「新感染」と比べるとそれは火を見るより明らかである。