映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「エル ELLE」監督ポール・ヴァーホーヴェン at 神戸国際松竹

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幼少期に父親が起こした猟奇殺人事件以来、傷つくことをやめてしまったかのような精神状態の女をイザベル・ユペールが演じる。口は悪いが他者に与えることは厭わない。だらしのない息子、欲望のまま生きる母親の要求に応え、ただ性欲を満たしたいだけの同僚の夫にもハイハイと電話一本でお供する。そして警察というものを絶対に信じず、勤務するゲームソフト会社の商品に暴力性が足りないと凄む。彼女の周りの人物は、一人の敬虔なカソリック信者の女性を除いて皆性欲過多かフェチ、そしてアホ。このような救えない人々もまた現実的には必ずいる筈で、監督ヴァーホーヴェンは旧来のコード的な倫理観を切り裂く。それはこの人のいつもの事ではあるが今回はロボットや戦争やストリッパーの世界ではなく日常性の中で描かれる点が新味。

ヴァーホーヴェン監督、御年79歳か。観る側が無意識に縛られている倫理観に弓引くパワーには脱帽。お勧め。良い子は観ちゃダメ。