映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ブルーム・オブ・イエスタディ」監督クリス・クラウス at Bunkamura ル・シネマ

ナチスドイツの加害者の孫と被害者の孫が、件の虐殺を研究する学会で出会い、反発し、やがて惹かれ会うというナチスの犯罪を現代の舞台に持ち込み、かつ若い世代に仮託して描くというアイデアは秀逸で、キャメラもなかなか素敵だ。しかし、ドイツ的なるものを徹底して排除するヒロインは、極東の国の観客には過剰に神経質な人にこそ見えても、笑いの対象にはなりにくい。対する男の「事情」も、だ。ウディ・アレンならと脳裏をかすめたが、つくっている監督と対象の距離が近過ぎるのかも知れない。エンディングは爽やか。