映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「ダンケルク」監督クリストファー・ノーラン at TOHOシネマズ新宿

www.dunkirkmovie.com

IMAXでの鑑賞。

先に言うが本作はIMAXで観ないと意味がない、映画館ではない鑑賞など言わずもがなだ。

この映画の前にはスピルバーグの「プライベート・ライアン」('98)を除いて全ての戦争映画がある種のロマンで綴られているような気がするほど音と映像で観る者をできるだけ戦場にいるかのような疑似体験させることが主眼となっている。その一方でゴムホースから垂れる水をすする一兵士のショットで彼らが置かれている状況を、小銃のジャムのショットで英国軍の武器装備に欠陥があることを、瞬時に表すシャープな映画的表現は秀逸。その一方で苛烈な空中戦にどうしても見て取ってしまう空中戦映画史の継承。

生きることを、国に帰ることを最優先する一兵卒とドイツ軍にドーバー海峡を渡らせてはいけない、と気概を見せる誇り高き英国人船長の対比。九死に一生を得た兵士と、彼のせいで死んでしまう一人の民間人青年の運命の分岐。映像の迫力とは別に、人間的な情感を簡潔な表現で見せていく芸の細かさ。リアリスティックなディテールの積み重ねは、最先端テクノロジーのみで購えるものではないことを見せてくれる。

佳作、お勧め。呉々も映画館で。