映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「ロープ 戦場の生命線」監督フェルナンド・レオン・デ・アラノア at CINEMA KOBE

www.facebook.com  1995年、バルカン半島のどこか、というクレジットから始まる。国境なき水と衛生管理団なる国際支援NGOは、ある井戸に投げ込まれた人の死体を縄で引き揚げようとするが重さで切れてしまう。死体を引き上げなければ井戸の衛生は保たれない。これは水を売ろうとする一団の仕業なのだ。衛生管理団のマンブルゥ(ベニシオ・デル・トロ)とB(ティム・ロビンス)はスタッフと共にロープを探す旅に出る。

 エミール・クストリッツア監督がけたたましく描くユーゴスラビア内戦と正反対の、停戦後の静かなる、しかし荒涼たる彼の地。牛の死骸が道路に横たわっている場合は必ずや地雷が仕掛けられているというエピソード。基本的に淡々と、爆発音も銃声もしない世界だが、そこで起きた悲劇は充分想像できる演出は秀逸だ。

 後半、悲しい事情でようやくロープが手に入るものの、実に皮肉な、苦々しい展開になる。マンブルゥの諦観に満ちた表情、常にアメリカンジョークで苛立ちを反転させるB。ボスニア情勢の一筋縄では行かない、まさしく現場で起きていることと、国連のようなロビーで判断されていることの乖離が顕在化する。

 原題はA Perfect Day、ラストでこの意味が分かる。エンディングに流れる"Where Have All The Flowers Gone"はPPMの歌として認識していたが、ここではマレーネ・ディートリッヒの歌声。沁みる。

 佳作、お勧め。


Marlène Dietrich - Where Have All The Flowers Gone.. (1963)