映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」監督ショーン・ベイカー at シネリーブル神戸

https://floridaproject.movie/

 フロリダ、ディズニーランドの街にあるモーテル「マジック・キャッスル」は実在するらしい。検索すると確認出来た。実際、この映画で描かれているような貧困層の巣窟になっているかどうかは定かではないが、悪趣味とも言えるパープルのペイントがシニカルだ。

 キャメラは常に子供達の視線か、鳥瞰的なアングルでモーテルの周りの世界を捉える。教養も品格もあったものではないヘイリー(ブリア・ヴィネイト)とその娘ムーニー(ブルックリン・キンバリー・プリンス)を中心にした日々の生活をドキュメンタリータッチで追う。取り立てて起伏のあるストーリーは無い。無邪気に遊び回る子供達、可愛い悪戯から逸脱した危なっかしさと貧しい食生活が延々と描かれる。負のスパイラルから抜け出しようもなく、ヘイリーは偽ブランド香水の押し売りと売春に走り、やがて当局の知るところとなる。この親子だけに限らず、モーテルの住人達に諦観に満ちた優しさで接するのが管理人(ウィリアム・デフォー)。ウィリアム・デフォー、彼以外は殆ど俳優では無い素人である中、世界に溶け込んでいるのは見事。

 中盤、広大な空き家群に侵入し放火する子供達のシーンがあり、これがサブプライムローンの残骸であることはすぐに想起できる。リーマンショックによる金融恐慌とここに描かれている貧困層は無縁ではない。家が持てない人にも家を、がサブプライムローンの描いた理想郷で、実際にはそれが破綻し、彼らの今日があるのだ。しかしそんなことを批判するでもなく火事見物する人々の無邪気さに暗澹とする。

 是枝裕和監督「誰も知らない」('04)の影響がそこここに見受けられるが、このエンディングは意見の分かれるところだろう。リアリズムからシュールに飛ぶ一瞬には心動いたが。