映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「友罪」監督・瀬々敬久 at TOHOシネマズ西宮OS

gaga.ne.jp  平日の昼間、劇場半分くらいの客入り、重い話なのにまずまずの入り、先日の渋谷で観た「孤狼の血」より入っている感じがする。

 原作は未読。ポール・ハギス「クラッシュ」('05)を想起する構成、ただ随所で予想外の展開になるのが面白い。当初、周囲に謝罪ばかりしているタクシー運転手(佐藤浩市)がてっきり猟奇殺人の犯人の父親かと思って観ていたら、違ってたり。いくつかの、現在進行形の社会問題がリンクしていく展開もスリリング。神戸の、タンク山の事件がモデルであることも容易に想起されるが、瑛太があの彼を演じるに当たって試行錯誤したであろうが結果を見事に出している。

 友罪、とは勿論創作物のタイトルとしての造語だが、読み方は有罪、と同じだ。ここで過去の有罪を問われて生きている人々の語らない、語れない静けさに反して、瑛太の工場の同僚の暴力、かつての恋人を付け回して脅迫する男の暴力に観るものは有罪を感じる。が、この二人は映画の中では法的に無罪だ(現実には罪に問われる可能性大)。同じ空の下、見えざる罪と顕在する罪、どちらが大きい小さい、重い軽いではない。全て我々の隣人である。

 ラストの時空を超えた視線の交差は、映画だ。佳作、お勧め。