映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「ウインド・リバー」監督テイラー・シェリダン at シネリーブル梅田

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 いかにも寒そうな山間の牧場、狼のような動物(のちにコヨーテと分かる)が狙撃される。ライフルで一発、絶命。撃った男コリー(ジェレミー・レナー)の顔にタイトル。この最初の1シーンが後々の伏線になっている。寡黙なハンター、コリーには別れた妻、喪った娘。テイラー・シェリダン脚本の「ボーダーライン」('15)のベニシオ・デルトロのキャラクターに重なる。コリーは雪原に少女の死体を発見。捜査に乗り込んだのは事務的に仕事をやっつけようとしている(ように見える)女性捜査官ジェナ(エリザベス・オルセン)。ラスベガスから薄着でやって来て、傍若無人。これも「ボーダーライン」に似たようなキャラクターの女性がいた。シェリダン監督の中に、強烈な思い入れのある人物像が存在することが想像される。

 ネイティヴ・アメリカンの居住区、この映画では保留地と呼ばれる地区の現状、そして過去に遡って彼ら彼女らが差別されている実態は変わっていない(これは西部劇裏面史だ)ということが分かる。伏線とメタファーが細かく散りばめられる。後半、コリーが見つけるコヨーテの群れが穴倉で目を光らせている不吉が、直後に殺戮戦として現出する構成などがそうだ。あるいは凡庸な官僚的人物のように見えていたジェナの、正体。見事なガンファイト。演出は細部までシャープで力強い。

 佳作、お勧め。