映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「夜の浜辺でひとり」監督ホン・サンス at シネリーブル神戸

crest-inter.co.jp   2年前サンセバスチャン国際映画祭に参加した折、帰路のパリ行きの飛行機の中でホン・サンス監督と邂逅した。同監督は同映画祭で監督賞を受賞。機内ではお祝いと思しき電話にニコニコと応答していた。パリ到着後、トランジットの間に何故か彼からペコリと会釈された。恐らくソウルに向かうのだろうが、アジア人同士、そして私に映画に関わる人間特有の何かが感じられたのだろうか。私も会釈を返したが、なるほどこういう人が監督賞を取るのだ、と映画を見てもいないのに人柄だけで納得したものだ。

 さて、ようやくホン・サンス監督初体験となったのが今作。

 ワンシーン・ワンカットの人なんだね。エリック・ロメールの韓国版、か。ところどころ謎を撒くのはロメールと酷似しているもロメールは謎を伏線として回収してくれる。この監督はほったらかす。海辺で唐突に男に抱えられて連れ去られるヒロイン。誰だか解らない男が登場人物たちの泊まるホテルの窓を延々拭く。いずれも伏線でもなんでもない。それらが微かに映画的な異空間を形作る楔としてあるだけでそれ以外は延々「彼らの日常」である。登場人物が映画のスタッフと俳優、というホン・サンス監督が晒している日常とみなして良いだろう。後はさぁそこに乗れるかどうか、という気分の問題である。ヨーロッパで評価が高く、本作はドイツロケだし他にフランスとの合作作品もある。後から知ったが監督と本作の主演女優は男女関係があるとのこと。この正直さが魅力なのかも、人柄かやはり。