映画的日乗

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「バッドジーニアス 危険な天才たち」監督ナタウット・プーンピリヤ at シネリーブル梅田

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 タイ、バンコク。貧しい父子家庭のひとり娘リン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)は天才的な頭脳を持つ。学費免除で良家の子弟が通う私立学校に転入するが、そこで出会った金はあるが勉強はしない子達から試験の答えを教えるかわりに報酬を受け取るビジネスを始める。そのカンニングをもう一人の苦学生バンク(チャーノン・サンティナトークン)が校長に白状してしまった為にリンの留学推薦が取り消されてしまう。しかし金持ちグループは米国留学資格試験のカンニングをリンに持ちかけ、リンは一計を案じる、というお話。

 「オーシャンズ11」('01)の骨子をタイの受験制度に当て嵌め、更にはアホでも金を使えば学歴が得られ、貧しいとどんなに頭脳明晰でもそれを得られないという社会の矛盾を突く構成。特に留学資格試験の為にシドニーに渡ってからのサスペンス演出は秀逸、お見事。函館でウロウロするだけの連中とかフィリピン女性を殴る自慰男とか格差社会の一方しか描けないもう本当に貧しくなってしまった日本映画に比べ、このシャープなタイ映画の豊穣。ラストの贖罪から希望に転化させる、人生はやり直せるというメッセージにも素直に感動した。この見事な脚本に拍手したエンドロールに中国資本の刻印が。そうか、そうだよな。

 ヒロインのジョンジャルーンスックジン嬢、その名前を覚えられるかどうか自信がないが、素晴らしい好演。世界に羽ばたくこと間違いなし。

 傑作、お勧め。


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