映画的日乗

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「ガンジスに還る」監督シュバシシュ・ブティアニ at シネリーブル神戸

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  来年公開の私の映画「みとりし」の企画段階で、企画・主演の榎木孝明さんからこの映画に描かれているインド、バラナシの「死を待つ人の家」の話しを聞いていた。榎木さんは実際にここに行かれたらしい。死を待つ人が集う場所を描く本作は、それほどすぐには死にそうにない男ダヤ(ラリット・ベヘル)がここへ来たがるというシニカルなイントロ。その息子ラジブ(アディル・フセイン)が付き添ってバラナシまでやって来るが、携帯電話が鳴り止まない絵に描いたようなビジネスマン。ひと呼んでホテル・サルヴェーション、そこは死を待つ部屋を二週間の契約で借りる。しかし18年いる、という女性がいてどうやら二週間ごとに契約更新できる事がわかる。ブティアニ監督はしばしば広いフィックスのマスターショットでその部屋を捉え、淡々とした日常だが却ってそれがダヤの生活を活き活きさせていることを見せる。ここでも、仕事と家族に縛られて常に神経質でいる息子と対比し、どちらが人間らしいのかとシニカルな視点で描く。

 さて、死を意識する事で、限りある時間を慈しむという人間らしさを取り戻すこのホテルの住人だが、あっけなく、次から次へと「解脱」して行く。遺体は、川岸で焼かれ、遺灰はガンジスに流される。生きていることと死ぬ事が川の流れで繋がる。この映画では苦しんで死んで行く人が一人も描かれない。死は苦行ではないというモチーフはそれが真実であるかどうかは兎も角、ここではとても明確なのが強烈に印象的。

Mukti Bhawan (From

Mukti Bhawan (From "Mukti Bhawan")

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