映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「すべてが狂ってる」監督・鈴木清順 at シネマヴェーラ渋谷

1960年日活作品。

 鈴木清順監督のフィルモグラフィによると1960年だけで5本の監督作品が封切られている。同年に公開されているのがゴダール勝手にしやがれ」ということでその影響の強い脚本。冒頭に割としっかり撮られている太平洋戦争の激戦、敗走する日本兵、一人の兵士の爆死。それは映画のワンシーンで若者達がつまらなそうな表情で映画館から出て来る、そこは明るい太陽の下の新宿。戦後たった15年でかの戦争の悲惨を忘れたかのように、アメリカナイズされた太平楽な若者を皮肉たっぷりに描く前半。その中の一人川地民夫が異常なマザコン、戦争未亡人の母親の恋人芦田伸介が息子の「誤解」を解こうと付き纏うというヘンテコな展開。川地が盗んだ車の助手席に女を乗せて疾走する新宿、目白。それを走って追いかける芦田伸介が何故か追いついて、更に後部座席に乗り込む不条理に清順節の萌芽が。当時新人の吉永小百合と遊園地でデートしている川地の同級生、何故か川地と二人で観覧車に。小百合嬢何処へ?意味のないキャスティングへの清順監督の抗議か?いやただ面倒臭くなっただけか?プログラムピクチャー量産時代を象徴する一本。

 

すべてが狂ってる [DVD]

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