映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「女王陛下のお気に入り」監督ヨルゴス・アンティモス at シネリーブル神戸

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アン王女役オリビア・コールマンが今年のオスカー主演女優賞。

 史実に照らし合わせてみると、いやただのwikiからの引用だが、本編で語られているスコットランドとフランスとの戦争というのはスペイン継承戦争の一環らしい。1700年前後か。さてそのスコットランド王室を実際にある城でロケーションしつつ人工的なライティングを廃して蝋燭の灯で撮影している。また広角レンズを多用(多用し過ぎの感あり)、フルショットで縦横無尽にキャメラは動き回る。舞踏会、18世紀にこんなダンスがあったのか、と一瞬思ったがそのうちこれは確信犯的に変な振付にしていることに気が付く。キューブリックバリー・リンドン」('75)を充分に意識しつつ、これまでにないルックを展開するアンティモス監督のセンスは抜群。女がすっぴんで男が化粧をしている世界、フルショットを多用していながらここぞという所でのエマ・ストーンのアップに膝を打つ。波乱万丈のストーリーがある訳ではなく、スコットランド王室の大奥、それが男を巡る争いではなく、ひと口で同性愛とは括れない、平たく言えば女子校ノリの女の本性を凝ったダイアログ演出で魅せる。「グリーン・ブック」の分かりやすいヒューマニズムの方がアカデミー受けするのだろうが、個人的にはこっちの女性の深層心理を画で見せていく才気溢れる演出に強く惹かれる。役者は全員素晴らしい。

 傑作、お勧め。