映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「バジュランギおじさんと、小さな迷子」監督カビール・カーン at 塚口サンサン劇場

www.imdb.com  2015年のインド映画、159分あるがダンスと歌をカットしたら20分は縮められるだろうがそれは出来ないお約束。ベッタベタの人情物、ヒーローたるパワンを超人気スター、サルマン・カーンが演じていて、これが無類のお人好し。バックボーンにヒンドゥー教ハヌマーン神の信仰がある。本編によると猿の神様のようだがwikiによると孫悟空も関係あるそう

 で、インドに紛れ込んでしまった異教徒たるムスリムの少女を故国パキスタンに送り返す、ただこの子が口がきけない、字が読めない。なのでいろんなことが起きるというストーリー。パワンとその周りの人々がこの少女がムスリムである事に気がつくのがえらく遅い。少女がベジのカレーを食べ残して隣家のムスリムのタンドリーチキンを食べるところで気がつくと思うが、そのカンの悪さは一方で宗教間の遠い隔たりを物語っているとも言える。

popleta.goo.ne.jp上のリンクも宗教観を知る参考になる。インドとパキスタンの分離は昨年の映画「英国総督 最後の家」がその過程を描いていた。そして少女の住む村がカシミール地方。ここの位置関係は予備知識があるとこの映画をより深く味わえる。

www.asahi.com  なるほど本編の中で描かれるその国境線は朝鮮半島の38度線並みの厳戒体制であるのはこういった理由からだと。なので、ツッコミどころは多々ある脚本だが、本質にあるのは宗教間の宥和である。現実は疲弊した対立関係であるのは日々のニュースでも知る事が出来る。本編でパキスタンの聖職者が警察に「モスクの中に原爆の設計図なんかないよ」と言うのはパキスタンの対インド原爆製造を物語っている。一方でこの映画がインドでヒットして日本まで届いて公開されるという事は、市井のレベルでは平和的解決が理想像なのであろう。パキスタン国境警備隊ラクダに乗っているのはなかなか映画的な画。

 ともあれ、ちゃんとお金かけて作られている娯楽大作として見応えは充分。