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「ハンターキラー 潜航せよ」監督ドノバン・マーシュ at 109シネマズHAT神戸

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 脚本に「ロボコップ」('87)のプロデューサーの人が入っているが、監督始め余り知らないスタッフ、キャストもさほど派手ではなく、製作国は英国となっている。エンドクレジットには中国系の会社と名前があり資本の一部が入っている模様。

 先の大戦でドイツ海軍Uボートと戦う英米艦隊や東西冷戦時代の米ソのつばぜり合いなど潜水艦をモチーフとしたアクション映画は多い。が、現在進行形の世界情勢が舞台の今作はひと捻り、いや奇想天外なロシアで軍部のクーデターが起きて大統領が誘拐されることに端を発する。米露が当初は互いに誤解しあってすわ第三次世界大戦か、というのはかつて「博士の異常な愛情」('64)でシニカルに描かれていたが、今作は同じく東西冷戦時の一触即発を描いた「五月の七日間」('64)が元ネタのような気がする。

 潜水艦もロシア艦隊もそれぞれちゃんとしたセット、地上戦も現代兵器の性能を見せつけるアクション、今の魚雷はあんな蛇みたいにクネクネと海中を走り回るんだな。ランチャー付きライフルは正確無比に相手を粉微塵にするんだな、となかなか見応えはある。この手のアクションではキレ味の点ではピーター・バーグ監督の方に一日の長ありだが、当マーシュ監督も頑張っている。ただ、ロシア側のキャスティングがどうも納得いかないというか、ロシア大統領は砲丸投げの選手みたいだし、クーデターの首謀者たる国防長官も人望がありそうに無い御面相だ。米潜水艦に投降する海軍将校だけが軍人らしく威厳たっぷりで先の国防相とその風貌の落差でストーリーが読めてしまう。現実のロシア首脳プーチン氏が頭脳も肉体もタフネスそのものに見えるのでどうしても見劣りする。「バイス」ほどじゃないにせよ、誰かいなかったものか。

 しかしこれ、現実にもっと近いスリルを描くなら、やっぱり米国の相手は中国だろう、冒頭に書いた理由でそれは無理と承知だが。

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