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「ココロ、オドル」監督・岸本司 at 第七藝術劇場

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www.cinematoday.jp  沖縄、座間味村という大変海の美しい村が舞台。出演の仁科貴から直接聞いたが、本編の自分の出番の撮影日数より海中撮影の日数の方が長かったそうだ。登場人物の一人、いつも不機嫌なフランス人がこの海に潜った途端に性格が良くなるというエピソードがあるのだが、さもありなんである。

 沖縄が舞台の映画というのは作り手と土地との距離感が難しい。本作の岸本監督は名護市出身で沖縄で映像を撮り続けているそうなのだが、先述のフランス人と加藤雅也扮する船大工を沖縄以外の人間に設定している事でバランスを取っている。あるいは地元の警察官が旧知の仲間内の人間を逮捕するのを躊躇したり、また周りの人間がそれを推奨しているかのような身内意識は独特である。フランス人カメラマンのフィアンセである沖縄にルーツを持つ米国人女性の妊娠におばあが気がつかないで便秘だと思う描写は首を傾げるが、蒸発した母を恋しがる娘が姉のように慕う女性に思わず抱きつく繊細さは秀逸。加藤雅也の内省から来る非暴力主義も何かと血気盛んな島の男達へのアンチテーゼとなっている。とまれ、座間味というところに行ってみたくなる。

 上映後、仁科貴の舞台挨拶。