映画和日乗

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「世界の中心で、愛をさけぶ」監督・行定勲 at OSシネフェニックス

言わずと知れた片山恭一の同名小説の映画化。
原作は未読。最早お話しは記するまでもないだろう。キーワードは「1986年」。
行定監督は1968年生まれ。'86年には18歳ということになり、この映画に登場する香川県の高校生達とほぼ同世代ということになる。
オファーでの仕事に他ならないが、監督はこの「同世代」にこだわり(主演の大沢たかおも'68年生まれ)、プロの「お仕事」としての技量の発揮と、
「自分たちの時代を描く」という「好きなこと」の両方を成立させている。多分原作には無いであろう、
渡辺美里の「きみに会えて」('85年)を画に載せたり、嘗て故・相米慎二監督の撮影を担当した篠田昇に、相米そっくりのキャメラワークをやらせたり
(杉本哲太森山未來を殴るカットのワンシーン・ワンカット)いや、やってもらったりなんて、監督冥利に尽きるんじゃないか。
そしてその篠田氏の遺作ともなった。
オールザッツ'80s、そんな楽しみ方が一番ふさわしい。